大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)726号 判決

本籍並びに住居

東京都板橋区志村中台町八八番地

工員(休職逓信事務官)

牧野昭

昭和三年三月五日生

本籍並びに住居

同都葛飾区亀有町一丁目一八五九番地

工員(休職逓信事務官)

能城昭

昭和二年一〇月二一日生

右の者等に対する公文書偽造、同行使、公文書変造同行使詐欺各被告事件について、昭和二六年一月三〇日東京高等裁判所の言渡した判決に対し、各被告人から上告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人牧野昭弁護人村上信金上告趣意について

所論原判決が引用した第一審判決の理由冒頭に被告人の職業につき論旨指摘のような記載のあることは所論のとおりであるが、第一審の右判示は単に被告人の経歴を示したに過ぎないことは、弁護人が本論旨において肯定しているところであり、そして原判決は右第一審の判示をそのまま引用したに過ぎないのであつて、所論のようにこれを判決の前提又は背景としたものとは認められない。従つて右判示を根拠として原審が被告人に対し刑の執行猶予の言渡をしなかつたのは、被告人に対しその身分によつて差別的取扱をしたという主張はこれを認めることができない。所論は結局憲法違反に名を藉りて原審の自由裁量に属する刑の執行猶予の当否を非難するもので、上告適法の理由とならない。

被告人能城昭弁護人高橋秀雄の上告趣意について

論旨は原審の裁量に属する量刑不当の主張であり、上告適法の理由にならない。

また記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見に従い主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例